9月定例会を振り返る: 小平市の暮らしと安全はどう変わる?― 物価高騰対策、防犯・防災、子育て支援 ― 補正予算のポイントを解説

目次

令和7年9月小平市議会定例会の流れ

令和7年9月定例会の日程

令和7年小平市議会9月定例会は、9月9日の初日からから30日の最終日まで、

  • 初日
    議案(市の予算や条例などの提案)の説明や、人事(教育長・教育委員の任命、固定資産評価審査委員の選任)に関する案件、8月に審査が行われた請願の採決が行われました。
  • 一般質問(9/10〜9/12):
    市政について議員が質問し、市が答える場です。
  • 常任委員会(9/16〜9/19):
    分野ごとに分かれた委員会で、提出された議案のうち、人事案件を除く20件について審査が行われました。
  • 特別委員会や議会運営委員会
    特定のテーマや議会の運営について話し合う委員会も、会期中に開催されました。
  • 最終日
    初日に提出された議案について、委員会での審査を踏まえ、本会議で採決が行われました。

という日程で進められました。

令和7年9月定例会での一般質問

本定例会で私は「業務でのAIの活用」や「広報・シティプロモーション」について質問しました。詳しい内容は記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。

常任委員会で審査された20の議案

今回の定例会には、23件の議案が提出され、初日に可決された人事案件3件以外の20の議案が常任委員会で審査されました。

  • 補正予算:4件
    • 一般会計補正予算(第3号)
    • 国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号)
    • 後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号)
    • 介護保険事業特別会計補正予算(第1号)
  • 条例案:3件
    • 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
    • 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
    • 乳児等通園支援事業の設備及び運営の基準に関する条例
  • 市道路線の認定および廃止:11件
  • 小川駅西口複合施設の指定管理者の指定関連:2件

これらの議案は各常任委員会での審査の後、最終日の本会議で採決され、全議案が可決されました。

小平市議会トピックス 委員会での審査についてもオンラインでの配信が始まりました。

今回は、私が所属する総務委員会で審査を行なった「令和7年度小平市一般会計補正予算(第3号)」について、委員会での審査内容も踏まえて解説します。


一般会計補正予算(第3号)について

今回の一般会計補正予算(第3号)は、昨年度の決算剰余金などを整理するとともに、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した市民生活支援が大きな柱となっています。予算規模は歳入歳出それぞれ28億3016万5,000円を増額し、総額を936億1,877万1,000円とするものです。

主な事業のまとめ
カテゴリー事業予算額内容
物価高騰対策低所得世帯支援給付金(定額減税に係る不足額給付)3億50万円生活に困窮する世帯への経済的支援
障がい事業所等業務継続支援1,119万8,000円物価高騰の影響を受ける事業所の運営を支援
介護事業所業務継続支援1,613万8,000円物価高騰の影響を受ける事業所の運営を支援
こども食堂物価高騰対策支援金516万円こども食堂の安定的な運営を支援
農産物直売所スタンプラリー・市内消費促進キャンペーン補助1,872万円地域経済の活性化と消費喚起
地域公共交通事業継続支援金480万円公共交通サービスの維持
中学校移動教室宿泊費支援393万4,000円教育活動における保護者負担の軽減
防災・防犯家庭用防犯機器等購入費補助の増1,003万8,000円市民の自主的な防犯対策を促進
地域における見守り活動の支援(自治会防犯カメラ設置補助の増)2,048万9,000円地域の防犯力向上を支援
市立小学校通学路における防犯カメラの増設127万7,000円子どもたちの登下校の安全確保
木造住宅の耐震化促進(耐震診断、耐震改修等補助の増)325万円災害に強いまちづくりを推進
子育て支援乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)開設準備経費補助3,900万円新たな子育て支援制度の導入準備
認可外保育施設利用者の第1子保育料への補助拡充1億1,287万5,000円子育て世帯の経済的負担を軽減
認証保育所への障がい児受入れ支援の増1,356万6,000円障がいのある子どもの保育環境を充実
笑顔と学びの体験活動プロジェクトの実施(市立小学校1校)110万円児童の体験的な学習機会を創出
いじめ防止対策の推進(いじめ重大事態調査報告書の作成)5万円いじめ問題への適切な対応
公共施設管理用水路の樹木剪定・護岸修繕586万円公共施設の適正な維持管理
市道・橋りょうの補修3,500万円市民生活に不可欠なインフラの維持
公園の遊具修繕、樹木剪定、トイレ特殊清掃の試行など4,209万円公園の安全性と快適性を向上
緑道等の樹木の伐採・剪定1,820万円緑地の適切な管理
西部市民センターの解体工事設計等1,326万8,000円老朽化した施設の更新準備
その他マイナンバーカード交付窓口等の拡充1,677万1,000円行政サービスの利便性向上
法改正対応(中長期在留者向け居住地等記録端末の購入)99万円適正な住民記録事務の実施
民生委員児童委員活動への支援(モバイル端末の更新)132万円地域の見守り活動をICTで支援
決算等を踏まえた整理・経費の補給等(基金積立、補助金返還、市税還付金、消防委託費など)21億3,457万1,000円前年度決算に基づく財政整理

一般会計補正予算(第3号)のポイント解説

物価高騰対策支援

  • こども食堂への食材費等に係る支援金の支給。
    • 支援対象は会食、配食、宅配の形態を問わず、1回あたり10食以上を提供する団体。一回につき、上限は2万円。
    • 今回の支援は臨時的なものとされましたが、市はこども食堂・誰でも食堂を「なくてはならない取り組み」と認識しており、今後の社会情勢を見ながら適切な支援を検討する旨の答弁がありました。
  • 観光まちづくり協会が実施する「農産物直売所スタンプラリー」と「市内消費促進キャンペーン」への補助。
    • 農産物直売所スタンプラリーは11月にデジタル方式で実施予定。
    • 市内消費促進キャンペーンは、市内の店舗で5,000円以上のレシートで応募できるもので、こちらも11月に実施予定です。効果測定は参加店舗へのアンケートなどが考えられています。
  • 中学校移動教室の宿泊費補助を1泊あたり4,700円から6,000円に拡充
    • 補助額の増額(4,700円→6,000円)は、近年の平均宿泊費(約12,000円)のおおむね5割を補助するという考えに基づいています。
    • 今後の継続については、社会情勢や近隣市の動向を注視しながら検討するとの答弁でした。
  • 障害者事業所および介護事業所への高熱水費等の補助。
  • バス・タクシー事業者への燃料費等に係る支援金の支給。

防災・防犯対策の強化

  • 市立小学校の通学路に防犯カメラを2台増設
    • 小平第十一小学校上宿小学校の通学路に2台の防犯カメラが増設されます。
    • 自治会が設置する防犯カメラは、東京都の補助率が引き上げられたことなどから申請が急増し、当初予算の50台(7団体)から100台(16団体)へと大幅に増えました
  • 住宅の耐震診断・改修等への補助を、能登半島地震以降の市民の関心の高まりを受け拡充。
    • 能登半島地震以降、市民の関心が高まっており、8月末時点で耐震診断35件、耐震改修等(除去)7件の申請がありました。
    • 年度末には診断が計50件、除去が計10件まで増えることを見込んで予算が増額されています。
  • 家庭用防犯機器等の購入費補助および自治会が設置する防犯カメラ補助を増額。

子育て施策の拡充

  • 来年度から開始される「こども誰でも通園制度」の円滑な実施に向け、事業者が行う施設改修等を補助。
    • 令和8年4月からの開始を目指し、今回は施設改修などの準備経費として、幼稚園7園に各300万円、民間保育所等15園に各120万円が補助されます。
    • 運営費は国の単価が詳細未定な部分もありますが、実績に応じて支援する方針です。保育士不足が懸念される中、市は各施設の事情に応じて無理のない範囲で開始できるよう相談していくとしています。
    • 事業の認可は市が行うため、指導監督を通じて保育の質を担保する考えです。
  • 認可外保育施設利用者の第1子保育料に対する補助を拡充。
  • 認証保育所への障害児受入れ支援を拡充。

施設・インフラの管理

  • 小川駅西口新複合施設への機能移転に伴い、西部市民センターの解体設計に着手。
    • 小川駅西口の新複合施設へ令和8年頃に機能移転できる見通しが立ったことが解体の主な理由。
    • 移転後の管理コストや跡地の暫定活用(工事用資材置き場等を検討)を考慮し、速やかな解体が望ましいと判断されました。
    • 避難所や投票所としての機能は新しい施設に引き継がれる方向で検討されています。
  • 公園(遊具修繕、樹木剪定、トイレ清掃)、道路、用水路などの維持管理費を増額。
    • 樹木の剪定は、住民からの要望(年間500~700件)に対し、越境など緊急性の高いものから優先的に対応している状況。
    • 公園遊具も年1回の点検に基づき優先順位をつけて修繕しており、具体的な修繕計画はないとの答弁でした。

これらの内容が盛り込まれた一般会計補正予算(第3号)案は、我々の会派も賛成し、賛成多数(日本共産党小平市議団の3名が反対)で可決されました。


一般会計補正予算(第3号)に賛成した理由と要望

今回の補正予算には、「こども食堂支援」をはじめとする物価高騰対策や、防犯・防災体制の強化などが盛り込まれています。こども食堂支援については、私も6月定例会で財政的な支援を含めたサポートを提案してきたものであり、一定の前進と捉えています(一般質問の内容は記事にまとめています)。さらに、所属する会派としてこれまで議会で求めてきた施策も反映されている点を踏まえ、本議案に賛成いたしました。

賛成の理由: 賛成討論の要約

  • 物価高騰対策: 物価高騰に直面する市民の生活、市内経済を守り支える上でも必要な施策
    • これまで要望してきたこども食堂への財政的支援が実現。
    • 地域経済を活性化するスタンプラリーや市内消費キャンペーン、生活交通を支えるバス・タクシー事業者への支援。
  • 防災防犯対策: 市民の安全・安心は市政の根幹であり、その基盤を強化する取組を含んでいる
    • 市民の安全・安心を確保する取り組みとして、木造住宅の耐震化促進事業の拡充。
    • 家庭用防犯機器購入費補助。
    • 通学路への防犯カメラ増設など。
  • 子育て支援: 未来を担う子どもたちを健やかに育むための取組として趣旨を評価
    • 「子ども誰でも通園制度」の準備費計上を新たな支援への第一歩として評価。
    • 認可外保育施設利用者への保育料補助や障害児受け入れ支援の拡充。
    • 中学校移動教室の宿泊費補助などを評価。

方向性や趣旨には賛同できるものの、依然として課題が残されていることも事実です。こうした課題については討論の中でも指摘しました。今後は、一般質問や会派としての要望を通じて改善を求め、さらなる政策提言を重ねていきたいと考えています。

今回の一般会計補正予算(第3号)で残された課題

  • 物価高騰対策の継続と拡充:
    • 今回の臨時的な支援にとどまらず、市独自の財源を活用した、より包括的で継続的な物価高騰対策を強く求めます。
    • 特に、今回の予算で対象とならなかった業種や市民への支援を検討するよう要望します。
  • 基金の積み立て:
    • 今後の大規模プロジェクトに備えた公共施設整備基金の積み立てが課題です。
    • 余裕財源が確保された際には、市民に必要なサービスを維持するため、積極的な基金の積立を要望します。

結びに

今回の9月定例会では、補正予算をはじめ、重要な議案の審査・議決が行われました。

「こども食堂支援」など、これまで私自身も提案してきた取り組みが一歩前に進んだことは評価しています。一方で、市独自の施策のあり方など、なお多くの課題が残されているのも事実です。

9月定例会は終わりましたが、次のタスクがすぐに始まります。9月定例会最終日に上程された「令和6年度小平市一般会計歳入歳出決算の認定について」をはじめ、各種決算について審査する決算特別委員会が10月14日から始まります(10月14日〜16日: 一般会計決算特別委員会。10月17日は特別会計・下水道事業会計決算特別委員会)。その後は、先進自治体への委員会視察が予定されており、11月には12月定例会に向けた一般質問の提出も控えています。すでに次の議論に向けた準備を進めているところです。

これからも、市民の声を議会に届け、課題を丁寧に分析し、より良い小平のまちづくりに向けて取り組んでまいります。


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