「サイバーセキュリティ、偽情報・闇バイト対策」、「教育でのAIやデジタル活用」について質問しました #令和7年3月定例会報告

小平市議会では、令和7年(2025年)2月21日から3月27日までの日程で、令和7年3月定例会が開かれました。2月26日から3日間は、各議員が1時間の持ち時間で市政についての質問や提言を行う「一般質問」が行われ、今回私は①サイバーセキュリティやインターネット上での偽情報・闇バイト対策、②教育におけるAIの活用や、デジタル教科書について取り上げました。

サイバーセキュリティや偽情報・闇バイト対策等について

サイバー攻撃やサイバーセキュリティと聞くと、政府や大企業の問題と思われがちですが、実際には私たちの身近なところも標的となっています。さらに、災害時にはSNSなどを通じて偽情報が拡散され、市民の混乱を招くケースも少なくありません。 また、インターネット上では「高収入」「簡単な作業」といった甘い言葉で若者を誘い、犯罪行為に加担させる「闇バイト」の勧誘も増加しています。 これらの問題は、地域社会全体でのサイバーセキュリティ意識の向上と、適切な対策が求められています。

セキュリティインシデントの発生状況は(令和3年度~令和5年度末)

市長答弁:
• サイバー攻撃によるインシデント:1件
• 内部不正によるもの:1件
• 職員によるヒューマンエラーなど:16件

→ 人為的ミスも多く、今後も職員教育や管理体制の強化が重要と指摘。

令和5年10月の国の「情報セキュリティ対策ガイドライン」改定への対応状況

市長答弁:
小平市情報セキュリティポリシーの対策基準に同ガイドラインの改正内容を取り込み、本年4月から運用する予定

脆弱性診断、侵入テスト、人材育成などの対策実施状況

市長答弁:
• 外部とのメールやウェブサービスの通信は、都区市町村情報セキュリティクラウドを経由し、ウイルス検知や迷惑メールの判定を行っている。
• 情報政策課職員は、国の機関が実施する実践的サイバー防衛演習や特定個人情報に係るインシデント対応訓練に参加し、実践的なセキュリティ対応能力の向上に努めている。
• 一般職員向けにセキュリティ研修を実施するとともに、セキュリティに対する自己点検や所管課単位のセキュリティ監査を行い、全庁的なセキュリティ対策を推進している。

庁内ネットワークの三層分離(業務系・情報系・インターネット接続系)の見直しは

市長答弁:
• 現在は三層分離を維持しつつ、業務効率化の課題を認識。
• 次回更改時期を見据え、クラウド等を活用したネットワーク構成の見直しを検討していく。

→ DX推進を見据え、利便性とセキュリティー面での安全性を両立した方式への転換を提案。

偽・誤情報、闇バイト等の拡散への対策は

偽情報への対応
市長答弁:デジタル庁が推進する「オリジネーター・プロファイル」について、鳥取県による実証実験などを注視しながら、今後の活用可能性を検討。

闇バイトの啓発・教育に関する取組
市長答弁:
• 小平警察署の依頼によりチラシの配架や市HPでの情報掲載。
• 防犯対策の一環として防犯カメラ設置補助制度を創設。
教育長答弁:
• 児童・生徒への闇バイト対策教育として小中学校で長期休業前に、詐欺防止を含む資料を用いて指導を実施。
• 東京都作成の「子供の安全教育プログラム」を用いて、詐欺や犯罪被害防止、危険行動防止などを通年で指導。

今回の質問を通じて、サイバーセキュリティ対策や偽・誤情報への対応に関する本市の現状や課題が明らかになりました。職員によるヒューマンエラーも多く、技術的な防御に加えて、人的な対策や教育の重要性を再認識しました。また、今後のネットワーク見直しや、オリジネーター・プロファイルのような新技術の活用も視野に入れた柔軟な対応が求められると感じます。
市民や事業者を含め、地域全体でデジタルリテラシーを高めながら、安全で利便性の高いデジタル社会の実現に向けて、引き続き取り組んでいく必要があります。今後も、国や都の動向、他自治体の先進的な取組などを参考にしながら、より実効性のある対策の推進を求めてまいります。


デジタル時代における教育のアップデートについ

大きな2件目は、デジタル時代における教育について取り上げました。

私が力を入れている政策の1つが、教育行政。社会のデジタル化は、生活や働き方に大きな変化をもたらしてきました。本年1月に実施された大学入学共通テストでは、「情報」が初めて出題され、データの活用や分析など、これからの時代に求められる力に焦点が当てられました。また、東京都教育委員会は、都立高校において生成AIを学ぶ独自科目を導入する方針を示すなど、新たな教育スタイルの検討も進められてきました。

私はこれまで、AI時代の教育の在り方や、第2期GIGAスクール構想に向けた学習環境の整備など、「デジタル」と「教育」の関係性について繰り返し取り上げてきました。しかし、そのわずかな期間の間にも、生成AIをはじめとするデジタル技術は急速に進化・普及し、教育現場でのデジタル活用に関する国のガイドライン等も新たに示されました。

こうした動向を踏まえ、私は今議会において、本市における取組の進捗状況や今後の課題を確認し、よりよい学びの環境づくりに向けた質問を行いました。   

生成AIの利活用について

教育長答弁:
① 令和6年の取組
• 令和5年度に策定した「小平市GIGAスクール構想推進計画」を令和6年4月に改定し、生成AIに関する記載を追加。
• 教員を対象に研修を4回実施。事例共有やリスク理解を進めた。
• 特に校務での活用が広がり、業務効率化に貢献している。

② 今後の活用方針
• 教員の情報リテラシー向上のため、引き続き実践的な研修を継続予定。
• 児童・生徒には、生成AIを正しく理解し使いこなす力(情報活用能力)を育成。

③ 児童・生徒への指導
• 学校現場で生成AIの仕組み・特性への理解を促す指導を進める。
• 国のガイドラインや先行自治体の実践を踏まえて、段階的に導入していく考え。

デジタル教科書の活用状況と評価

教育長答弁:
① 活用状況
• 英語(小5~中3)は全校で導入済。
• 算数・数学は一部校で試行導入中。
• 他教科は学校判断で導入・活用を進めている。
• 指導者用デジタル教科書は、全校で主要教科に導入済。

② 紙とデジタルの評価
• 文科省の調査では、デジタルは可視化・操作性・理解促進に優れる一方で、紙は集中力や深い読解に効果があるとされている。
• 教育長としては「ハイブリッドでの活用が今後の方向性」との認識。

今回の質疑を通じて、本市における教育のデジタル化に向けた取組の進捗や課題が改めて明らかになりました。生成AIの活用や情報教育の充実など、社会の変化に応じた学びの環境づくりが今まさに求められている中で、子どもたちが未来を切り拓く力を育むためには、教育現場の継続的な支援と柔軟な制度設計が不可欠です。

今後も国や都の動向を注視しながら、現場の声にしっかりと耳を傾け、すべての子どもたちにとって安心で質の高い教育環境の整備に向けて、取り組みを続けてまいります。

シェアはこちら
  • URLをコピーしました!
目次