1件目は「防災」について。
本年は、能登半島における地震や豪雨災害、南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」の発表をはじめ、いつ起きるか分からない災害に対する備えの必要性を改めて考える機会が増えた一年でした。
小平市は、地形や地盤からも災害に強いと言われることも多いですが、今後30年間に約70%の確率で発生すると予測されるマグニチュード7クラスの首都直下地震や、近年の自然災害の頻発化・激甚化・複合化による災害リスクに対し、平時から不断に万全の備えを行う必要があります。
生活や住宅環境の変化への対応や、新たな考えや技術の有効活用等を通じ、本市の災害対応力のアップデートを求めて、以下の質問を行いました。
- 災害時に強い通信環境の整備として、東京都によりモバイル衛星通信機器が本市にも配備されたが、その内容とこれまでの運用状況を伺う。
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市にも本年7月に配備された。総合防災訓練では、避難所設営訓練と合わせて接続訓練を行う予定だったが、雨天のため機器の展示のみに変更し、衛星通信機器の配備を啓発した。今後も、訓練等を通じて災害時における効果的な使用方法を検討していく。
再質問・解説
災害時における通信手段の確保は、大きな課題となっています。東京都は能登半島地震において広範囲に渡り、通信が途絶したことを踏まえ、都内の全ての市区町村にモバイル衛生通信機器を配備しました。配備されたのは、SpaceX(スペースX)社のスターリンク(Starlink)。通信費等は都負担とのことで、小平市としても、平時のイベント等で実証実験等を踏まえ、災害に対する啓発等に活用を求めました。
- 市の公式LINEに、災害時に必要な情報へ容易にアクセスできるリッチメニューを備えた「災害モード」の実装等、災害時に備えた取組を進めるべきであると考えるが、市の見解は。
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現在、市公式LINEのリッチメニューには災害時モードを実装していないが、リッチメニューから市ホームページへアクセスできるため、災害時には市ホームページをご覧いただくよう、SNSにて周知する運用を考えている。
災害発生時や災害の危険が迫っている場合などに、LINEのリッチメニューを災害時モードに切り替え、緊急時の情報収集が容易にできる運用を行っている他自治体の事例があることは把握している。
市としても、災害時に備え、SNS等を活用した情報発について、引き続き検討していく。
再質問・解説
現在市の公式LINEには、公園や道路の不具合をLINEを介して通報できるシステムを備えています。
発災時には災害箇所の通報をこのシステムで行うことや、デジタル防災訓練を行っている他自治体もあることから、情報発信だけでなく、双方向的なやりとりに有効活用ではないかとの考えから再質問・要望を行いました。
- 平常時と災害時の垣根を取り払い、普段から利用している商品やサービスを災害時にも適切に活用する「フェーズフリー」の概念を取り入れた取組の推進、市民への周知等が有効であると考えるが、市の見解を伺う。
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災害時に特化した備えではなく、可能な限り日常生活の中に防災活動を取り込むことで、日々の生活の中で自然に防災意識を持ち、効率的に対策を行うことができることからも、フェーズフリーは有効な考え方であると認識している。
引き続き、市民の方には、機会を捉え、回転備蓄等の日常生活の中における防災対策の啓発に努めるとともに、フェーズフリーの考え方も踏まえた、効率的な防災対策の取組みを進めていく。
再質問・解説
統計では、発災により防災意識は高まるものの、実際に防災グッズを購入・準備するに至らないことも多くあるとのことです。日常的に使っているものを災害時も使うことには、その準備のハードルを下げる効果があるため、今回取り上げました。さらに、再質問では、市民の皆様からお預かりした要望である、個人の防災グッズ購入補助や、自主防災組織への補助の拡充を強く要望いたしました。
- 災害協定を締結している団体の総合防災訓練への参加状況と内容、また参加時の費用負担等の状況、協定内容の見直しは。
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例年、概ね50団体に参加いただき、道路啓開訓練、救援物資搬送などの活動訓練のほか、展示ブースを設置し、市民への啓発を行っていただいている。
また、費用負担については、原則として、ご協力いただける範囲で、参加機関にご負担いただいている。
災害協定を締結する団体と密に連携を図るとともに、適宜協定内容の見直しを行うなど、発災時における実効性の向上に取り組んでいく。
再質問・解説
10月に行われた総合防災訓練はあいにくの雨とのことで、フルスペックでの開催ができなかったものの、市民の方々からより実効性の高い訓練の実施についての要望をいただきました。訓練の充実に際しては、協定を結んでいる団体の皆様に対して費用負担等も考える必要があるのではないかとの考えで、災害協定の内容の具体的な見直し等を含めた要望を行いました。
大きな2件目は、デジタル政策を推進するための体制や人材について取り上げました。
私が議員になって初めての一般質問ではAI、生成AIについて取り上げ(その後実現!)、また、データの利活用や、教育におけるDXなど、現代社会では欠かすことのできないデジタル技術の有効活用。デジタルツールの導入だけでは進むことはなく、結局最後は人であると考えています。
市民サービスの向上や働き方改革など、デジタル社会にふさわしい行政のあり方への再構築に向け、熱意やスキルをもつプレーヤーの存在が不可欠であると考え、本年4月に外部人材として登用されたデジタル政策参与、DX推進に係る人材について、以下質問しました。
- 本市のDX推進役であるCIOとデジタル政策参与は、どのような連携を行なっているのか。
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DXによる変革が必要とされる背景や意義、小平市の取り組みの進め方について、情報共有・意見交換を行っている。
再質問・解説
これまで我々の会派でも、デジタル政策の推進において外部の専門人材を登用するように求め、本年4月よりデジタル政策参与が登用されました。本市のDX推進の旗振り役であるCIO(最高情報責任者、副市長)との連携により、デジタル政策が進むことを期待するところですが、今後、課題の解決なのかそれとも、新たなデジタル政策に取組んでいくのかについて再質問で取り上げました。何か助言等が参与からなされたときの、意思決定にかかる市のトップ層のマインドおよび体制については、概ね前向きな回答があったかと思います。具体的な政策については、今後各論で論じていきます。
- デジタル政策参与からこれまでどのような提言、助言があり、実際に施策として実施したものはあるか。
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DXによる変革が必要とされる背景や意義について、全職員が共通の認識の下、DXの取組を進めていくべきとの提案があり、参与自らが講師を務め、常勤職員全員を対象としたDX推進マインドセット研修を実施した。
また、現場での取組に対する助言や支援に関しては、市の取組の現状や課題等を把握することを目的に、各部長との面談を順次行っている。
再質問・解説
現状はDX推進に関する講座の開催に留まっており、現状の課題等の共有中との回答でした。
現状参与から、本市のデジタル環境の遅れを指摘されているとのことですが、この点には同意します。このように、せっかく専門的な知見やこれまで他自治体でのデジタル化の経験を有するデジタル政策参与自ら市の課題を指摘し、その改善をすることを進めるべきと考えます。
- DX推進リーダーについて、①本市において求める人材像と役割、②人事交流や民間講座の受講等も含め、人材の確保・育成に関する市の取組状況、③DX推進リーダーの各部署への配置に関する今後の方針・計画は。
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市では、昨年4月に定めたDX人材の育成方針において、DX推進リーダーを、様々なデジタルツールを活用し、担当する行政サービスや業務のデザインやBPRを主導できる、担当業務のDXを担う人材のこととしている。
人材の確保・育成の取組状況でございますが、令和4年度からデジタル庁へ職員を1人、本年度はGovtech東京に職員を1人、それぞれ派遣しており、市でDX推進研修や自己啓発を目的とした通信研修を実施しているほか、市長会事務局や東京都デジタルサービス局等が主催する市区町村職員向け研修等に参加している。
今後の方針でございますが、DXによる変革が必要とされている現在では、単なるデジタル活用に留まらず、利用者が求めるサービス及びその体験の品質向上のために、利用者の視点でサービスをデザインすることができる、変革の起点となれる人材の必要性が高まってきており、DX推進リーダーの位置づけや役割をさらに整理した上で、今後、育成や配置を進めていく。
再質問・解説
再質問では、DX推進人材の育成に関して、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が定めているデジタルスキル標準の活用や、ITパスポート検定等の客観的、定量的な評価基準を導入すべきと提言しました。また、人事交流後のキャリアについてなど、デジタル人材が引くて数多の現状で、いかに人材を育成・確保していくかを問いました。
また、AIやAGI(汎用人工知能)等、新たな技術をいかに活用していくかなどの視点についても重要であり、新たな人材像の提案も行いました。
今回の一般質問の内容は、議会Webサイトから動画でご覧いただけます。