「DXの本質」を問う。小平市のデジタル改革に何が足りないか。

令和6年(2024年)3月定例会 一般質問「デジタル化にとどまらないトランスフォーメーションを意識したDX推進に向けて」レポート


このレポートの要約

小平市のDX推進について、2年間の取り組みを検証しながら、「技術を追う」のではなく「ビジョンから逆算する」DXの本質を議会で問い続けました。

  • DXの本質論:変革か、効率化か:行政DXを単なるデジタル化・効率化にとどめず、住民福祉の増進というミッションから逆算した変革として位置づけるべきことを提言
  • オンライン化の進捗把握の欠如:どの手続きがどこまでデジタル化されているか、市が把握できていないという現実を数字で明らかにし、実態の可視化を求めた
  • KPI・目標値のない計画のリスク:成果指標のない計画は評価も改善もできないことを指摘し、具体的な目標値の設定と進捗管理の仕組みづくりを訴えた
  • 市民・職員とともにつくるDX:トップダウンで進めるのではなく、市民の声と現場職員の知恵を取り込みながら共感を生むDXを推進すべきという考え方を提言
  • 先進事例の活用とスモールスタート:他自治体の取り組みを参照しながら、小平市が今すぐ着手できる具体的なアクションを議会で提示した

目次

「DX」という言葉が一人歩きしている

2024年3月。改めて根本的な問いを立てました。

「小平市のDXは、デジタル化(Digitization)にとどまっていないか。本当のトランスフォーメーション(変革)になっているか」

DXとは単に紙をデジタルに置き換えることではありません。行政の仕組みそのものを、市民・職員とともに再構築することです。

きっかけの一つは、市長が東京都の宮坂副知事と面会した際のやりとりでした。「ICT化・デジタル化ではなく、これからはトランスフォーメーションだ」——この認識は小平市でも共有されているはずです。

しかし議会でデータを確認すると、「ビジョンがあってデジタルを活用しているのか、技術が出たから取りあえず使っているのか」という根本的な問いに対して、明確な答えが見えてきませんでした。


質問①:2年間の変革、その取り組みと評価

前進した取り組みは確かにある

答弁では、令和4年1月のDX推進方針策定から2年間の実績として、以下が示されました。

行政手続のオンライン化を最優先に進め、公共施設予約のオンライン化やコンビニ証明書交付を拡充。会議のペーパーレス化やチャットツールの導入、AI-OCR・RPAによる定型作業の自動化——一定の前進があることは事実です。

しかし「何割オンライン化できたか」がわからない

私が最初に確認したのは、シンプルな数字でした。

「全体の手続のうち、何パーセントがオンライン化されているのか」

答弁では、国が定める優先59手続のうち「半数少々」はオンライン化が進んでいるとのことでした。しかし、どの手続がどの程度利用されているか、窓口がどれだけ省力化できたかのデータは把握されていませんでした。

やっているかどうかはわかる。しかし、効いているかどうかがわからない——これがDXの現状でした。


質問②:ロードマップの見直し——「目標値のないDX計画」という問題

計画はあるが、KPIがない

令和5年2月にDX推進ロードマップが更新されていることが確認できました。しかし私が問題視したのは、具体的な数値目標(KPI)が設定されていないことです。

東京都の「シン・トセイ4」では「全体の何割を何年までにオンライン化する」という具体的な数値が示されています。八王子市では「年間1,000件以上の申請がある手続は何年までに何パーセントのオンライン化完了」という目標を掲げています。

「目標がなければ、達成したかどうかの評価もできない。取り組んでいる職員のモチベーションにもつながらない」

私がこう訴えると、答弁では「他市の事例を参照しながら目標値の設定は可能かと考える。どのような形で表すかは検討が必要」という方向性が示されました。

次回の計画改定には、具体的な数値目標が盛り込まれることを強く要望しました。


質問③:「市独自の取り組み」という視点

他市の真似ではなく、小平市の課題をデジタルで解く

答弁では、市独自の取り組みとして、窓口キャッシュレス化や電子黒板を活用した業務効率化などが挙げられました。しかし私が問いたかったのは、それらが「できるからやった」のか、「課題解決のためにやった」のかという優先順位の根拠でした。

答弁は率直でした。「着手できる範囲で、できるところから手をつけている」——つまり、戦略的な優先順位はなく、実施可能なものを順次進めているという現状でした。

私が提案したのは、大学・企業との連携によるアイデアソンやハッカソンの実施です。前年11月に政和会が市内大学と行った議会報告会では、学生から「SNSを使った小平市のプロモーション」という視点が生まれました。外の視点を取り込む仕組みが、小平市独自のDXを生む原動力になると考えています。

日野市では、デジタル地図を活用した空き家・空き地対策がデジ田甲子園2023の本選に出場しました。「小平市が抱える課題にデジタルを当てる」——この発想こそが、真のトランスフォーメーションにつながります。


質問④:ユーザーテストという発想

「使う市民の声」を聞いていない

答弁では、職員向けのヒアリング・アンケートは実施されていることが確認できました。一方で、市民に対するユーザーテストは実施されていないことが明らかになりました。

私が訴えたのはこういうことです。

オンライン申請のプロセスは「窓口に来て書類を書いて提出する」という従来の流れをデジタルに置き換えたものにすぎません。市民が実際に経験する「情報を知る→手続きを調べる→書類を揃える→申請する→結果を受け取る」という一連のプロセス全体をデジタルで使いやすく設計し直さなければ、本当の意味での利便性向上にはなりません。

「アジャイル開発のように、作っては試し、意見を聞いて改善するサイクルを回す。若手職員に権限を与え、失敗を恐れずチャレンジできる風土をつくる」

町田市では、若手職員が主体となりAIアバターを活用したDX方針の広報動画を制作するなど、新しい取り組みが生まれていました。小平市でも、デジタルネイティブ世代の職員が持つ潜在的な能力を活かす仕組みが必要です。


この質問のその後

この質問の後、生成AIの全庁活用が本格化しつつあり、行政手続のオンライン化も着実に進んでいます。
また、DX推進の取り組み状況の進捗等、改善も進みました。

令和8年(2026年)3月、「小平市DXビジョン2040」が完成し、今後はこのビジョンをもとに、ロードマップ等が改定される予定です。私がこの質問で訴えた「目標値の設定」「ユーザー視点のシステム設計」「市独自のDX」という課題は、引き続き議会で提言し続けています。

デジタルが目的ではない。市民が実感できる変革こそがゴールだ。 この信念で、これからもDX政策を議会から動かし続けます。


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