DXを動かすのは、人だ。小平市のデジタル人材戦略を問う。

令和6年(2024年)12月定例会 一般質問「デジタル政策参与、DX推進人材について問う」レポート


このレポートの要約

令和6年12月定例会では、小平市のDX推進を支える「人材」に焦点を当て、デジタル政策参与の活動実態とDX推進リーダーの育成・配置の現状を問いました。

  • デジタル政策参与の実態確認:8か月間で12回登庁、週次オンライン定例29回という活動状況を明らかにし、その役割と成果を問いただした
  • CIOと参与の連携:市のDX推進の司令塔であるCIOとデジタル政策参与がどう連携しているか、指示系統と役割分担を確認した
  • 参与の提言が施策に結びついたか:これまでの助言・提言のうち、実際に施策として実施されたものを問いただした
  • DX推進リーダーの人材像と育成:総務省の定義を超えた「変革の起点となれる人材」の育成と、デジタルスキル標準・資格取得の活用を提言した
  • 令和8年度までの配置計画:各部署へのDX推進リーダー配置という3年後の目標に向け、具体的なロードマップを求めた

目次

はじめに:ツールより先に、人が変わらなければならない

どれだけ優れたデジタルツールを導入しても、使いこなす人材がいなければ意味がありません。自治体DXの本質は、システムの導入ではなく、行政の在り方そのものを変えることです。

2024年12月の質問では、小平市が2024年4月に登用したデジタル政策参与の活動実態と、DX推進を担う内部人材の育成・配置状況を正面から問いました。「DXを動かすのは、人だ」という信念のもと、人材戦略の核心を議会で問いただしました。


質問①:デジタル政策参与は、何をしてきたか

2024年4月に着任したデジタル政策参与について、11月末までの8か月間の活動実態を確認しました。

答弁で明らかになった活動内容は以下の通りです。登庁は12回。DX推進本部や市長・CIOとのミーティングへの出席、職員研修の講師を担当しています。加えてDX推進担当との週次定例ミーティングをオンラインで29回実施し、随時デジタルコミュニケーションツールで情報共有も行っています。

その成果として実際に施策につながったものとして、全常勤職員を対象としたDX推進マインドセット研修が挙げられました。参与自らが講師を務め、DXによる変革の必要性について全職員が共通認識を持てるよう取り組んでいます。また各部長との面談を順次行い、現場の課題把握を進めているとのことでした。

一方で、参与の助言が予算や組織に直接作用する仕組みはまだない、という実態も答弁で確認しました。参与が「こう変えるべきだ」と提言しても、それが即座に予算化・組織変更につながる体制にはなっていません。DXを本気で進めるためには、トップ層の意思決定が参与の提言と連動する仕組みが必要だと考えます。


質問②:参与は「課題解決型」か「変革提案型」か

再質問で掘り下げたのが、参与の役割の方向性です。

「参与が行政全体をサーベイして主体的に課題を洗い出しているのか、それとも各課から課題を共有された情報を受けているだけなのか」という問いに対し、答弁では両面があると示されました。専門家としての視点から全体的な課題を指摘しつつ、現場の課題も情報共有を受けながら把握しているとのことです。

また、GovTech東京がAIエンジニアをアドバイザーとして任用したことや、品川区がAIを活用して補正予算を編成したことを紹介しながら、参与の役割が「既存課題の解決」にとどまらず、「新しい技術を活用した新たな施策の創出」にも広がるべきだと提言しました。

デジタル政策参与から実際に出ていた助言として印象的だったのが「情報のシャワーを職員が浴びなければならない。情報をシェアし、実際に使ってみることが人材育成につながる」という言葉です。ツールを使いこなす前に、まず新しいものに触れ続けることが大切という考え方は、DX推進の本質を突いています。


質問③:DX推進リーダーを、どう育て、どこに置くか

2023年に策定されたDX人材育成方針では、令和8年度までに各課にDX推進リーダーを配置するという3年後の目標が掲げられていました。しかし2024年12月時点では、候補となる人材の数的把握すらできていない状態でした。

この現状に対し、いくつかの具体的な提言を行いました。

デジタルスキルの客観的な評価については、市が独自に作成したマインドセット・スキルマップによる自己チェックに加え、経済産業省・IPAが示すデジタルスキル標準(DSS)の導入や、ITパスポート・プロジェクトマネージャ試験などIPA国家資格の取得奨励を提案しました。答弁では「一つの参考として考慮できる」と前向きな姿勢が示されました。

人事交流の拡大については、デジタル庁とGovTech東京に各1人が出向中であることを確認した上で、交流人数を増やすことと、戻ってきた職員のスキルと人脈を最大限活かせる部署への配置を求めました。

配置のロードマップについては「どのペースでどの部署から配置するか、まだ整理されていない」との答弁でしたが「いち早く配置できるように進める」との意志が示されました。


この質問のその後

論点(2024年12月の質問)当時その後
DX推進リーダーの配置候補者の数的把握もできていない段階配置が開始され、令和8年度には25人体制へ
BPR(業務フロー再設計)の推進内製化でのノウハウ蓄積段階令和8年度からBPR推進のための外部人材を登用
デジタル政策参与の活動全職員対象マインドセット研修を実施令和7年度に、小平市DXビジョン2040の策定に寄与。今後はDXビジョンに基づき本市のDXが進められる。

DXの本丸はBPR(業務プロセス再設計)です。どれだけAIやシステムを導入しても、業務フローそのものを変えなければ、デジタルは「既存業務のデジタル化」に終わります。令和8年度からBPR推進の外部人材が登用されることは、小平市のDXが次のステージに踏み出す大きな一歩です。

しかし、外部人材に頼るだけでは持続しません。25人のDX推進リーダーが各部署で変革の起点となり、市全体がデジタルを武器に動き始める。そのための仕組みづくりを、これからも議会から後押しし続けます。

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