デジタル時代の教育の最前線。学びをどう更新。

令和7年(2025年)3月定例会 一般質問「デジタル時代における教育のアップデートに向けて」レポート

このレポートの要約

令和7年3月定例会では、2023年12月以来続けてきた「AI時代の教育」の問いを、改めて議会にぶつけました。

  • 生成AI活用の進捗確認:教員研修は延べ約120人に実施。しかし全教員が対象ではなく、活用している学校は把握できている範囲で5校程度にとどまる
  • 教育情報セキュリティポリシーの未完成:先生方が安全に生成AIを使える環境整備が、まだ道半ば
  • デジタル教科書の格差:算数・数学は市内の約半数の学校にしか届いていない。2030年に向けた「紙かデジタルか」の判断を前に、全校での検証が急務
  • こどものデジタル創作体験:東京都の「とうきょうこどもクリエイティブラボ」を継続活用しながら、体験の場を広げる
目次

AIが日常に入り込んだ時代の、学校教育の現在地

2025年1月の大学入学共通テストで、初めて「情報」が出題されました。東京都教育委員会は都立高校に生成AIを学ぶ独自科目を導入する方針を示し、社会全体でAIへの対応が加速しています。

2023年12月の一般質問で生成AIと教育を問い、2024年9月にはNEXT GIGAに向けたネットワーク整備と教育データの保護を問いました。令和7年3月の質問は、これらの「その後」を確認しながら、次のステップを問う場でもありました。


質問①:生成AI活用、広がっているのか

2023年12月の答弁では「管理職・情報教育担当教員と共に活用方法を研究していく」とされていました。その後を確認しました。

2024年4月に情報活用能力の育成指針を改定し、生成AIに関する内容を追記。専門家を講師とした教員研修会を4回実施し、延べ約120人が参加しました。対象は希望者・情報教育推進委員・副校長・教務主任で、全教員ではありません

実際に生成AIを校務で活用している学校は「把握できている範囲で5校程度」。27ある市立小・中学校の2割以下です。効果の定量的な把握(時間削減など)もできていませんでした。

使用しているAIも「各教員が使いやすいものを選んでいる段階」とのこと。教育情報セキュリティポリシーが未整備のため、個人情報に触れない範囲に限定した活用にとどまっています。先生方の働き方改革に生成AIを活かすためには、この土台となるポリシーの策定が急務です。


質問②:こどもたちに、AIをどう教えているのか

AIが検索エンジンに標準搭載され、こどもたちが意図せずAIの情報に触れる時代です。AIを「使う」より先に、AIを「理解する」教育が必要です。

答弁では、小学校低学年から段階的に情報活用能力を育成し、情報モラル・情報リテラシーの指導を発達段階に応じて行っていることが示されました。一方、「各校でAIをデモンストレーションしながら教えている事例があるか」という質問には、「把握していない」との回答でした。

ハルシネーション(AIの誤情報生成)、個人情報の流出リスク、著作物の取り扱い——これらは知識として学ぶだけでなく、実際に体験して初めて腑に落ちるものです。学校という安全な環境の中で、AIに触れ、失敗し、考える機会をつくることを求めました。


質問③:デジタル教科書の格差をどうするか

英語は小5〜中3の全校で導入済み。一方、算数・数学は市内の約半数の学校にとどまっており、どの学校に通うかで学習環境に差が生じています

さらに問題なのは、令和7年度には国の事業の対象が「学校数の半数」から「児童・生徒数の半数」に変わるため、場合によってはカバー校数が減る可能性があることです。

2030年を目途に、紙かデジタルかを各教育委員会が選択できる制度の導入が検討されています。その判断をするためにも、今のうちに全校・全学年でデジタル教科書を使い、効果を検証する必要があります。メリットだけでなく、視力への影響や学習集中力の変化といったデメリットも含めた研究を、積極的に進めることを求めました。


質問④:こどものデジタル創作体験の場を広げる

昨年夏、東京都の「とうきょうこどもクリエイティブラボ(くりらぼ)」が小平市でも開催されました。令和7年度も同様の実施を東京都に希望しているとのことです。

公民館のジュニア講座や放課後こども教室での取り組みも確認できましたが、市独自の常設拠点はまだありません。「デジタルを使っていろんなことができる」という体験を、一人でも多くのこどもに届けるため、学校の授業以外でもデジタル創作に触れられる場を広げることを要望しました。


この質問のその後

この質問は令和8年3月時点では最新の教育テーマの議会報告です。引き続き進捗を追っていきます。

論点(2025年3月時点)状況
全教員対象のAI研修令和7年度より情報リテラシー向上と実践的AI活用を組み合わせた研修を実施予定
教育情報セキュリティポリシー策定中(完成時期未定)
デジタル教科書(算数・数学)令和7年度は児童・生徒数の半数へ対象変更。カバー校が減る可能性も
こどものデジタル創作体験令和7年度もくりらぼの実施を東京都に希望中

AIが答えを出せる時代だからこそ、自ら問いを立て考え抜く力を育てる。教育の現場が本当の意味でアップデートされるまで、議会からの提言を続けます。

→ 関連記事:AI時代の教育を問う(令和5年12月) NEXT GIGAに備えよ(令和6年9月)

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