小平の緑を守り抜くために。みどりのマネジメントを議会で問う。

令和5年(2023年)9月定例会 一般質問「みどりの適切なマネジメントに向けて」レポート

このレポートの要約

令和5年9月定例会では、小平市の豊かな緑を「守る」だけでなく「適切に管理する」ための体制整備を議会で問いました。

  • 倒木・落枝被害の実態:令和元年度以降に発生した倒木・枝の落下・根上がりの件数と被害状況を明らかにし、市民の安全を脅かすリスクを問いただした
  • ナラ枯れ対策の現状:小平市緑化推進委員会の緊急提言を受けて実施されたTWTトラップ設置や薬剤注入の効果と、その後の対応状況を確認した
  • 玉川上水の管理体制:倒木防止や草本管理など、東京都と市の役割分担の実態と、市民が快適に使える緑道整備への課題を問うた
  • ICTを活用した樹木管理:LINEを活用した市民通報システムの導入可能性など、デジタルを使った効率的な緑の管理手法を提言した
  • あれから2年、小平市の緑はどう守られているか:当時の質問がその後の樹木管理体制の整備にどうつながったかを照らし合わせる

目次

「緑」は小平の宝であり、リスクでもある

小平市の魅力の一つは、豊かなみどりです。街路樹、公園、緑道——この恵まれた自然環境は、多くの市民が「小平に住んで良かった」と感じる理由の一つでもあります。

一方で、2023年の夏、喜平町桜通りで、直径約20センチ・長さ七、八メートルの桜の枝が走行中の自動車に落下し、フロントガラスを破損させる事故が起きたのです。幸い、運転手にけがはありませんでした。しかし、一歩間違えれば人命に関わる事故でした。

さらに深刻だったのは、この桜の木が直前の樹木診断で「A判定(最も健全)」を受けていたという事実です。つまり、現在の検査体制では、この種の事故を完全に予防できない可能性がある——そう認識した私は、令和5年9月定例会の一般質問で「みどりの適切なマネジメント」をテーマに取り上げました。


質問①:倒木・枝折れ被害の実態データ

見えてきた「小平市の緑のリスク」

まず私が確認したかったのは、過去の被害データです。令和元年度以降の倒木・枝折れ・根上がりの件数と被害状況を確認すると、以下の実態が明らかになりました。

公園: 1件。駐車場内の自動車が枝折れにより破損。

樹林地: 4件。倒木により住宅地のフェンス等が破損したものが2件、自動車を破損させたものが2件。

道路(街路樹): 1件。走行中の自動車が枝折れにより破損。

幸い、いずれも人命への被害はありませんでした。しかし、これは「たまたま」だったとも言えます。

倒木の原因と「高齢化する樹木」

倒木の原因を確認すると、台風などの自然災害によるものと、樹木の老朽化・内部空洞化によるものに分かれることがわかりました。

都市建設担当部長の答弁から引き出した重要な事実があります。

「市内の街路樹は、まちの発展とともに植えられた木が高齢化しており、全体的には倒木・落枝案件は増加傾向にある」

建物と同様に、樹木も「高齢化問題」を抱えているのです。


質問②:ナラ枯れ被害の現状と対策

深刻な被害規模

ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシが媒介するナラ菌によって樹木が枯死する病害です。小平市でも深刻な被害が続いていました。

年度枯死・伐採本数
令和2年度135本
令和3年度187本
令和4年度137本

3年間で合計459本もの樹木が失われていたのです。

TWT(トラップ)の効果と限界

令和3年度から、小平市緑化推進委員会の緊急提言を受け、TWT(トラップ)設置によるナラ枯れ対策が行われてきました。答弁によれば、トラップを設置した樹木の枯死率は大幅に低下しており、一定の効果があることが確認されました。

しかし令和5年度、トラップの設置が中断されていることが明らかになりました。理由は「ナラ枯れが収束傾向にある」ことと、「管理の労力負担が大きい」こと。

私はこの判断に疑問を呈しました。

「これまでなかった街路樹での新たなナラ枯れ発生が確認されています。本当に収束していると言えるのか。予防コストと事後処理コストのどちらが大きいか、きちんと比較検討すべきではないか」

所沢市では、ナラ枯れ被害木1本の処理に40万円もかかった事例もあります。予防投資の重要性を訴えました。


質問③④:玉川上水緑道の安全対策

市民からの声と管理の課題

玉川上水沿いの緑道は、多くの市民が日常的に利用する小平の誇る散歩道です。しかし私の元には、こんな声が届いていました。

「夏場になると雑草が茂って歩きにくい」「根が隆起していて転倒しそうな箇所がある」

玉川上水は基本的に東京都が管理する施設ですが、市が東京都から借り受けている区間も存在します。答弁では、市民からの苦情を受けて速やかに対応している実態が確認できました。

ウッドチップ活用という提言

私がこの質問で提案したのが、伐採・剪定した樹木のウッドチップ活用です。

根の隆起部分に敷き詰めることで歩行者の転倒対策になる可能性があること、そして日野市や武蔵野市ではウッドファイバー舗装が実際に活用されていることを示しながら、小平市でも検討すべきと提言しました。

答弁では「東京都と相談しながら検討していく」という方向性が示されました。


質問⑤:テクノロジーを活用した樹木管理へ

「A判定の桜が枝折れした」という衝撃

この質問の核心はここにあります。

令和3年6月の樹木診断で「A判定(最も健全)」とされていた桜の木が、わずか2年後に大規模な枝折れ事故を起こしました。樹木医による外観診断・機器診断の体制が整っていても、急速な枯死の進行を予見することは困難だったのです。

ドローン・AI・センサー活用という提言

私が提案したのは、テクノロジーを活用した新たな樹木管理体制の構築です。

すでに一部の自治体では、ドローンで樹林内を撮影しAIで画像診断する取り組みが始まっています。レジストグラフ(きりを使った内部空洞測定)や音響波センサーなど、より精度の高い診断技術も存在します。

私はこう要望しました。

「リスクの高い樹木については、新たなテクノロジーを使った『木のカルテ』構築を検討すべきだ。予算をつけて、現場に過度な負担をかけない形で進めてほしい」


質問⑥:ICTを活用した市民通報システム

LINEによる通報システムの導入

答弁では、樹木の異変や道路の不具合を市民がLINEで通報できるシステムを「本年中に開始できるよう準備中」であることが明らかになりました。

24時間365日、写真付きで通報できるこの仕組みは、行政の目が届かない場所の情報収集に大きな効果をもたらします。

私がさらに提案したのは、MyCityReportのような通報状況を地図上で可視化し、対応状況をオープンにするシステムの考え方です。市民が通報しっぱなしで終わるのではなく、「受付済み→対応中→対応済み」と行政の動きが見えることで、行政への信頼感と市民参加が同時に生まれると考えています。


質問⑦:民有地の樹木管理支援

「民有地の緑も小平の財産」という視点

保存樹木・保存樹林に指定された民有地の緑に対しては、剪定補助や損害賠償保険の補助が行われています。しかし私は、それだけでは不十分だと訴えました。

緑の所有者も高齢化が進んでいます。悪意がなくても、管理が行き届かない木が隣地や道路に被害を及ぼす事例はこれから増えていく可能性があります。

「剪定補助だけでなく、樹木医や専門家を派遣して健全性についてアドバイスする仕組みを整えることで、民有地の緑を長く守っていける」

この要望は、今後の政策提言につながる重要な布石です。


あれから2年。この質問が残したもの

令和5年9月の質問から2年が経ちました。

LINEによる市民通報システムはその後稼働し、市民が緑の異変を手軽に報告できる環境が整いつつあります。環境建設委員会での活動を通じ、グリーンインフラの観点からも緑の管理と活用についての議論を続けています。

論点(2023年9月の質問)当時の答弁その後・現在
ICT通報システムの活用「年内にLINEで開始予定」公園・道路の不具合をLINEで通報できるシステムを開始
樹木の定期的な診断・点検「強化週間のようなものを検討」「診断の精度向上を研究」令和7年度より、公園・緑道・街路樹・小中学校・公民館の樹木診断等を実施

しかし、課題は山積みです。

  • 高齢化が進む街路樹・公園樹木のリスク管理
  • テクノロジーを活用した「木のカルテ」構築
  • 民有地の緑を守るための専門家派遣制度
  • 玉川上水緑道の安全対策の継続的な推進

豊かな緑を守りながら、市民の安全を守り抜く。 「守るべきは守り、変えるべきは恐れず変える」——この信念で、これからも緑の管理政策を議会から提言し続けます。


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