「知っている人だけが得をする」行政を終わらせるために——令和8年3月定例会の一般質問では、市役所から必要な人へ支援を届ける「政策デリバリー」の実現に向けた提言を行いました。
- デジタルID(住民ID)の導入:縦割りを越えて「市民単位」の行政へ
バラバラに管理されている市民情報を安全に連携し、「誰に、何の支援を届けるべきか」を市役所が横断的に把握できる基盤を作ること。 - デジタルポストの整備:埋もれる紙の通知から、確実な直接配達へ
給付金や健診のお知らせが、スマホへ直接届く専用の郵便受けを整備し、重要なお知らせを見逃さない仕組みを作ること。 - 人にやさしいデジタル化:機械ではなく、人の温かさを届けるために
デジタルで効率化した分、スマホが苦手な方への丁寧な窓口対応や対面サポートに、市役所の時間と人手を集中させること。
この3つの柱で、小平市を「待つ市役所」から「届ける市役所」へと転換し、すべての市民が公平に支援を受けられる未来を目指します。
はじめに:「知らなかった」で諦めないために
「もっと早く知っていれば、この補助金がもらえたのに…」こんな経験をしたことはありませんか?
どんなに素晴らしい支援制度を作っても、それを必要としている人に確実に届かなければ意味がありません。
今の行政サービスの多くは「申請主義」——つまり、市民が自分で情報を探し、自分で申請することが前提です。
しかし、日々忙しい中で、複雑な制度をすべて把握するのは困難です。結果として、本来受けられるはずの支援を受け取れない「受給漏れ」が起きています。
これは、皆さんの正当な権利に関わる、見過ごせない問題です。
今回の議会では、この「申請主義の壁」を乗り越え、市役所から必要な人へ支援を届ける仕組みを提案しました。
問題点:「知っている人だけが得をする」申請主義
今の仕組みの限界
現在、行政サービスを受けるには:
- 自分で情報を探す
広報や市のホームページから制度を見つける - 自分が対象か判断する
複雑な要件を読み解く - 必要な書類を集める
所得証明書、住民票など、複数の書類を用意 - 窓口または郵送、オンラインで申請する
申請書を記入し、提出
この全てのステップを、市民が自力でクリアしなければなりません。
何が起きているか
- 子育て世帯の例
- 出産後の慌ただしさで、児童手当の申請期限を見落とす
- 「第二子出産で追加でもらえる補助金」の存在を知らない
- 高齢者世帯の例
- 「介護保険の住宅改修費助成」があることを知らず、自己負担で改修
- 複雑な申請書類を前に、諦めてしまう
制度があっても、届かなければ意味がありません。
「制度があるから大丈夫」ではなく、「一人ひとりの市民にどう届けるか」へと、行政の姿勢を根本から変える必要があります。
すでに実現している自治体がある
先進事例:「スマホで完結する市役所」(岡山県総社市)
「そんな便利なこと、本当にできるの?」と思われるかもしれません。
しかし、既に実現している自治体があります。
総社市の「PUSH型通知サービス」の仕組み
- 市役所が対象者を自動検出
- 住民データから「この人は〇〇給付金の対象」と判定
- 住民データから「この人は〇〇給付金の対象」と判定
- LINEで直接お知らせが
- 「あなたは〇〇給付金の対象です」と通知
- 「あなたは〇〇給付金の対象です」と通知
- スマホで数回タップするだけで
- 申請書の記入・郵送不要
- 最短数日で給付
驚きの成果
- 従来の方法
- 申請書を郵送→記入→返送→審査→給付
- 所要期間:数週間〜1ヶ月
- 総社市の方法
- スマホで通知→確認ボタンをタップ→給付
- 所要期間:最短数日〜10日
利用した住民の9割以上が従来の申請方法より便利だと回答。他の手続きにも拡げてほしいと回答。これが「全国最速レベルの給付(スーパーファストパス方式)」です。
私の提案 ①:デジタルID(住民ID)で「市民単位」の行政へ
今の市役所の問題点(構造的な限界)
現在、皆さんの児童手当、介護保険、所得などの大切な情報は、市役所の中で別々の部署がバラバラに管理しています。
「窓口に行くたびに、何度も同じ書類を書かされる…」 その原因が、この縦割りの仕組みです。市が新しい支援制度を作っても、「このデータを別の事業に使ってよいか」をその都度確認しなければならず、本当に支援が必要な人をスピーディに見つけ出すことができません。
私が提案する「デジタルID」という解決策決策
私が議会で提案している「デジタルID」は、この縦割りの壁を越えるためのパスポートです。
その真の目的は、単なる本人確認ではありません。「誰に、何の支援を届けるべきか」を市役所が横断的に把握する仕組みを作ることです。事業ごとの縦割りから、「市民一人ひとり」を中心としたやさしい行政へ、システムを根本から設計し直すことを市に求めています。
- 勝手にデータは見られません(ご本人の同意が前提です)
「個人情報を市役所に監視されるのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
私が提案しているのは、ご本人が「自分の手続きをラクにするために、データを連携して支援を届けてほしい」とあらかじめ許可(同意)した場合にのみ機能するルールです。
個人情報保護法でも、「本人の利益となる場合」には、一定の要件下で情報の横断利用が認められています。
東村山市では既に、庁内データを安全に連携できる運用ルールを整備。プッシュ型サービスの基盤を構築しています。
小平市でも、市民の皆さんのメリットを第一に考え、同様のルール整備を進めるべきです。
私の提案②:デジタルポストで「確実に届ける」
今の市役所の問題点(構造的な限界)
現在、市役所からのお知らせ(給付金、各種健診、子育て支援など)の多くは「紙の郵便物」で一斉に送られています。
しかし、他のチラシに紛れて見落とされたり、読まれずに捨てられてしまったりして、結果的に「もらい忘れ」が頻発しています。
どんなに手厚い支援も、市民に気づかれなければ意味がありません。
デジタルポストがもたらす真の解決策
デジタルIDによって見出された「支援を必要としている対象者」へ、情報を最速かつ確実に届ける専用の直通パイプ——それが「デジタルポスト」です。
できること
- 給付金の案内
- 健診のお知らせ
- 子育て支援情報
- 災害時の避難情報
これらが、ご自身のスマートフォンへ直接届きます。
市役所からの重要なお知らせだけが独立して届くため、見逃す心配がありません。
私の提案③:デジタル化で生まれた時間を、人の温かさに
デジタル化の本当の目的
私がこの「政策デリバリー」で最も実現したいのは、機械に置き換えることではありません。
スマートフォンで手続きが完結する便利さを喜ぶ方もいれば、職員と直接話して安心したい方もいる。デジタルは、どちらの暮らしも豊かにするための手段です。 テクノロジーが書類や手続きを担うことで、職員は本来の仕事に集中できる。そして、デジタルの恩恵が届きにくい方には、人にしかできない温かい支援を届けられる。 住民一人ひとりの福祉を増進すること。それが自治体の使命であり、私がデジタル化にこだわる本当の理由です。
スマホが使える人には、デジタルで便利に
デジタルIDとデジタルポストで、スマホを使いこなせる方には:
- 窓口に行かなくても手続き完了
- 何度も同じ書類を書く必要がない
- 給付金の受け取りが最短数日
市役所の事務作業も大幅に削減されます。
そこで生まれた時間を、すべて「対面サポート」へ
デジタル化で浮いた市役所の時間と人手を、すべて:
- スマホが苦手なお年寄りへの、丁寧な窓口対応
- 複雑な手続きに困っている方への、寄り添った相談
- 外国籍の方や、障がいのある方への、きめ細やかなサポート
こうした、人にしかできない温かい支援に集中させます。
誰一人取り残さない市役所へ
デジタル化は、「デジタルが使える人」だけのためのものではありません。
むしろ、デジタルが苦手な方にこそ、手厚いサポートを届けるための仕組みです。
総社市でも、デジタル化と同時に、窓口の対面サポート体制を強化しています。
小平市も同じ道を進むべきです。
私の提案④:人生の節目を自動でサポートする「AIエージェント」
さらにその先の未来
デジタルIDとデジタルポストの基盤が整えば、次のステップはAIエージェントの導入です。
AIエージェントとは
AIエージェントとは、目標を与えると自律的に動くAIのことです。「政策デリバリー」で言えば、人生の大きな変化のとき、必要な支援を自ら判断して届けてくれるAIです。
結婚、出産、子育て、引っ越し、家族の介護——人生の節目は、誰しも慌ただしく、市役所の複雑な制度を調べる余裕がありません。
その結果、「もらえるはずの補助金を見落とす」ことが最も起きやすい時期です。
例:赤ちゃんが生まれたとき
- 市役所に出生届を提出
↓ - システムが自動で検知
↓ - AIエージェントが動き出す
↓ - スマホに通知が届く
- 「お子様のご誕生、おめでとうございます!
現在、あなたが受け取れる子育て補助金が3つあります。
申請のサポートを開始しましょうか?」
- 「お子様のご誕生、おめでとうございます!
市民が「自ら気づいて動く」のではなく、市役所(AI)の側から「必要なタイミングで、そっと手を差し伸べる」。
申請の手間をゼロにする(ゼロエフォート)——これが、これからの市役所のあるべき姿です。
実現に向けて:市側の反応
前向きな答弁
今回の提案に対し、市長からは:
- デジタルID・デジタルポストの基盤整備の重要性を認識
- プッシュ型サービスの有効性を理解
- 小平市2040DXビジョンでの主要な取組
第2期経営方針推進プログラムとの連動
本市が掲げている第2期経営方針推進プログラムの各実施プログラムにおける取組の方向性においては、
- ⑭「ライフイベント関連手続のデジタル完結」
- ⑮「生成AIの積極的活用」
- ⑰「DXビジョンと連動したDX推進ロードマップの更新」が示されています。
今回の私の提案は、この第2期経営方針推進プログラムが掲げる方向性を、「政策デリバリー」基盤として一本化する構想です。
本年策定が予定されている小平市2040DXビジョンを受けて新たに策定するDXのロードマップに載せ、早急に実装に向けた実施を求めました。
「研究する・検討する」だけでは、市民の皆さんに届きません。他の自治体では既に実現しています。小平市も、市民のために何ができるかを真剣に考え、行動すべきタイミングです。この実現に向けて、私は提言し続けることをお約束します。
結びに。深谷幸信が目指すもの
制度は「作って終わり」ではない
届けてはじめて価値を持つ。これが、私の変わらない信念です。
「知っている人だけが得をする」を終わりにしたい
情報格差は、そのまま生活格差に直結します。
- インターネットを使いこなせる人
- 市役所に相談に行く時間がある人
- 制度を調べる余裕がある人
こうした人たちだけが支援を受けられる社会は、公平ではありません。
デジタルの力を使えば、この不公平を解消できます。
やさしく、賢い市役所へ
皆さんの税金で作られた支援が、1円の無駄もなく、必要な皆さんの手元へ確実に届く市役所。
それが、私が目指す「やさしく、賢い市役所」です。
プッシュ型行政は夢物語ではありません。
必要なのは、技術ではなく、「市民のために何ができるか」を本気で考える姿勢です。
これからも、一歩ずつ、現実にしていきます
一歩ずつ、確実に。 小平市を「待つ市役所」から「届ける市役所」へ。
制度の恩恵が、必要な人に、確実に届く社会を。深谷幸信は、その実現を諦めません。
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