災害対応力のアップデートを。小平市の防災に、何が足りないか。

令和6年(2024年)12月定例会 一般質問「小平市の災害対応力のアップデートを」レポート


このレポートの要約

令和6年12月定例会では、能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報が相次いだ2024年を踏まえ、小平市の災害対応力をデジタルも活用しながら底上げすることを訴えました。

  • スターリンク(衛星通信)の活用:東京都から配備されたモバイル衛星通信機器の運用状況を確認し、市民まつり等でのデモンストレーションによる平時からの訓練と啓発を求めた
  • LINE防災モードの実装:災害時に必要な情報へ素早くアクセスできるLINEリッチメニューの防災モード実装と、双方向型デジタル防災訓練の導入を提言した
  • フェーズフリーの推進:平常時と災害時の垣根をなくす「フェーズフリー」の概念を市の防災啓発に取り入れるとともに、自主防災組織・個人への補助拡充を求めた
  • 太陽光パネル火災への対応:増加する太陽光パネルの災害時リスクに対し、消防団への装備・訓練・市民への周知啓発が不十分である実態を明らかにした
  • 災害協定の実効性向上:50団体以上が参加する総合防災訓練の実効性と、協定内容の定期的な見直しの状況を確認した

目次

はじめに:2024年、「いつ起きるか分からない」を実感した1年

2024年1月1日、能登半島を最大震度7の地震が襲いました。9月には同じ地域を豪雨災害が直撃し、8月には初の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。

小平市は武蔵野台地に位置し、水害リスクが低く「災害に強いまち」と言われることが多い。しかしそれは、備えを怠っていい理由にはなりません。今後30年間に約70%の確率で発生すると予測される首都直下地震、そして近年の自然災害の頻発化・激甚化・複合化。「まさか」が「いつか」になる前に、小平市の災害対応力を今すぐアップデートする必要があります。

令和6年12月定例会の一般質問では、最新のデジタル技術も活用しながら、小平市の防災体制を底上げするための提言を行いました。


質問①:スターリンクを、使いこなせているか

2024年7月、東京都から小平市にモバイル衛星通信機器「スターリンク」が配備されました。固定回線や携帯基地局が被災しても、アンテナを設置するだけで高速インターネットが使える機器です。

しかし答弁で明らかになったのは「8月に展開訓練を実施した」「総合防災訓練では雨天のため機器の展示のみ」という状況でした。

ここで重要なのは2点です。東京都はこのスターリンクについて日常的な運用を推奨しており、通信費・維持費は全額都負担(月約15.5万円)です。つまり市が費用を一切負担することなく、平時から積極的に使い続けることができます。

だとすれば、「訓練のときだけ使う」ではもったいない。市民まつりや産業まつり、防災イベントでデモンストレーションを重ねることで、接続時の課題も洗い出せますし、市民への防災啓発にもなります。答弁では「スペースの確保などの条件がそろえばデモンストレーションは可能」との見解が示されました。コストゼロで始められる取り組みを、「配備して終わり」にしないことを強く求めました。


質問②:LINEを、防災ツールに育てる

小平市の公式LINEは、すでに公園・道路の不具合通報ツールとして活用されています。しかし当時、災害時のリッチメニューはまだ実装されていませんでした。

他自治体では、LINEのリッチメニューを「防災モード」に切り替えることで、避難所情報・ハザードマップ・緊急連絡先などへワンタップでアクセスできる仕組みを整えています。群馬県や足立区では、LINEを使ったデジタル防災訓練も実施済みです。

答弁では「他自治体の事例は把握している。引き続き検討していく」とのことでしたが、特段大きな費用をかけずに実装できる可能性があることも確認できました。

この提言は、その後実現しました。 小平市公式LINEに防災モードが追加され、災害時に必要な情報へ素早くアクセスできる環境が整備されています。平時から市民がLINEで防災に慣れ親しめる環境が、ようやく形になりました。詳しくはこちら


質問③:フェーズフリーで、防災を「日常」に

「防災用品を揃えなきゃ」と思いながら、なかなか行動に移せない市民は多い。2024年10月の調査では、防災意識が高まったと答えた人が62.4%いる一方、防災バッグを用意していない人が47%に上るという結果が出ています。

そのハードルを下げる考え方が「フェーズフリー」です。日常生活の中で使うものが、災害時にもそのまま役立つ設計を取り入れること。ショッピングバッグが水運搬袋になる、目盛り付きコップが計量カップになる——こうした製品を通じて自然に防災意識が育まれます。

小平市でもローリングストック(回転備蓄)の啓発や学校体育館への冷房設置など、フェーズフリーの考え方に沿った取り組みはすでに進んでいます。さらに踏み込んで、総合防災訓練やイベントでフェーズフリー製品を紹介・啓発することを提言しました。

また、市民から多数届いていた声として、自主防災組織や個人への防災用品補助の拡充を強く要望しました。公助だけでなく、自助・共助を強化することが本当の意味での防災につながります。


質問④:太陽光パネルの火災リスク、対策は後手になっていないか

普及が進む太陽光パネルは、災害時に新たなリスクをもたらします。倒壊・破損したパネルへの注水は感電の危険があり、通常の消火活動がそのまま使えません。

答弁で明らかになったのは現状の課題です。消防署からは「感電の危険がある場合は注水しないよう指示する」との方針がある一方、消防団には感電防止のための装備も対応訓練も実施されていません。市民への周知も「特別な啓発は行っていない」という状況です。

「今この瞬間に震災が起き、市内で太陽光パネルの火災が発生したら、どう対処するのか」——この問いに対し、明確な答えは示されませんでした。太陽光パネルの普及と同じスピードで、対応体制の整備を進めることを強く求めました。


質問⑤:災害協定を、実効性あるものに

小平市は約50団体と災害協定を締結し、毎年の総合防災訓練にも参加いただいています。しかし協定の内容は、名称変更や統廃合への対応が中心で、内容そのものの見直しはほとんど進んでいない実態が明らかになりました。

また、訓練への参加費用(日当等)についても、国・都からの要請機関には支払いがある一方、それ以外の団体は無報酬での社会貢献扱いになっていることも確認しました。協定先団体から「今後こういうふうにしてほしい」という声があることも、今回の質問の背景にあります。

災害協定は締結して終わりではなく、定期的に内容を見直し、訓練を通じて実効性を高め続けることが重要です。令和6年度に修正された地域防災計画では、新たに車中泊避難者・テント避難者への対応拠点設置が盛り込まれており、それに対応した協定の追加・更新も急務です。


この質問のその後

論点(2024年12月の質問)当時その後
LINE防災モード未実装・検討中LINE公式アカウントに防災モードを追加
自主防災組織への補助現状維持補助額を増額

この質問以外の取り組みも含め、令和8年度予算では防災関連予算が拡充されました。

しかし、市が「防災日本一」を標榜している以上、その言葉の重みに見合った取り組みになっているかという視点で見れば、まだ十分とは言えません。スターリンクの平時活用、太陽光パネル火災への対応体制、フェーズフリーの本格推進——議会で問い続けてきた課題は、まだ道半ばです。

「防災日本一」は宣言するものではなく、一つひとつの備えを積み上げた先にあるものだと考えています。市民の命と暮らしを守る実効性ある防災対策を着実に前進させるよう、これからも議会から求め続けます。

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