NEXT GIGAに備えよ。教育DXの「次の一手」を議会で問う。

令和6年(2024年)9月定例会 一般質問「NEXT GIGAに向けた戦略的な教育DXの推進を」レポート

このレポートの要約

1人1台端末が小・中学校に行き渡ったGIGAスクール構想。その「次」、NEXT GIGAに向けて、令和6年9月定例会で教育DXの現在地と課題を問いました。

  • ネットワーク整備の遅れ:文科省の推奨帯域400〜600Mbpsに対し、市内学校の実測値は100〜200Mbpsにとどまっている
  • 教育情報セキュリティポリシーの未整備:児童・生徒の教育データを守るルールがまだ策定されていない
  • 教育DX推進体制の強化:教育CIOの登用と、市長部局との連携体制の構築が必要
目次

「1人1台」の次へ。NEXT GIGAとは何か

2020年度から、全国の小・中学校で一斉に進められてきた GIGAスクール構想

児童・生徒1人に1台の学習用端末が整備され、授業におけるICT活用は一気に広がり、教育現場の風景は大きく変わりました。

しかし、その端末は現在、更新の時期を迎えつつあります。このタイミングを受け、文部科学省は次の段階として 「NEXT GIGA(第2期GIGAスクール構想)」 を打ち出しました。

これは単なる端末の更新ではありません。デジタル技術を活用し、教育の質を大きく高めていくことを目指す取り組みです。

例えば、

  • 高速・安定したネットワーク環境の整備
  • クラウドの本格的な活用
  • データを活用した学習支援
  • 一人ひとりの理解度や進度に応じた 個別最適な学び の実現

などが、その柱とされています。

言い換えれば、これまでの「1人1台端末を整備する時代」から、端末やデータを本当に使いこなし、学びを変える時代へと進もうとしているのです。

私自身、2023年6月の一般質問では「個別最適な学び」をテーマに取り上げ、同年12月には「AI時代の教育」について市の考えを問いました。そうした問題意識を踏まえると、NEXT GIGAへの移行は、小平市の教育DXが次のステージへ進む重要な転換点だと考えています。

そこで私は、令和6年9月の一般質問において、このNEXT GIGAへの対応について、市の考えを正面から問いただしました。


提起①:ネットワーク整備が、教育DXの足かせになっている

文部科学省は2024年4月、学校規模ごとの「当面の推奨帯域」を公表しました。小平市の学校規模(300〜700人規模)では、400〜600Mbpsが目標水準とされています。

では、小平市の実態はどうか。

答弁で明らかになった数字は、実測値100〜200Mbps。推奨帯域の半分以下です。

市は令和4年度にネットワークアセスメントを実施し、通信方式の変更や無線アクセスポイントの周波数統一などの改善を行いました。その結果、平均47%の改善が図られたとのことでしたが、それでもまだ推奨帯域には遠く届きません。

どれだけ優れたデジタル教材を導入しても、ネットワークが遅ければ授業で使えない。端末を更新しても、通信環境が整わなければ本来の力が発揮できない。インフラなき教育DXは絵に描いた餅です。

質問では、NEXT GIGA端末更新の補助要件として国が策定を求めているネットワーク整備計画について、推奨帯域を達成目標として明記すべきと求めました。答弁では「令和6年度中に計画を策定・公表する」との見通しが示されました。


提起②:こどもたちの教育データを守るルールがない

2024年夏、一部のアプリ業者が児童・生徒の学習データを直接取得・管理し、海外に委託保管していたことが報道で明らかになりました。

小平市でも、中学校3校で私費会計により活用されているアプリが該当する可能性があるとわかりました。

問題の核心は、教育情報セキュリティポリシーが策定されていないことです。市長部局の情報セキュリティポリシーを準用している状態では、こどもたちの学習ログや個人情報を守るための専用のルールがありません。

文部科学省が教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを最初に出したのは2017年。7年が経ちます。答弁では「現在策定に向けて検討を進めている」とのことでしたが、「いつ完成するか」には答えが示されませんでした。

教員が生成AIを校務に活用するためにも、学習データを個別最適な学びに活かすためにも、その土台となるセキュリティポリシーの策定は急務です。


提起③:教育DXを動かす「推進体制」が必要だ

デジタル活用を進めるためには、仕組みと人材が必要です。

今回、教育CIOおよびCIO補佐官の登用を提案しました。答弁では「必要性について研究する必要があるため、現在のところ考えていない」とのことでしたが、同時に今年度から指導課にICT推進担当を新設し、デジタル政策参与からの助言を得ながら進めていく体制が整備されつつあることも明らかになりました。

また、文科省のKPIについても確認しました。「端末を使った授業の実施率」など既に達成できている項目がある一方、情報通信技術支援員(ICT支援員)の配置次世代校務支援システムの導入は、補助金なしには難しいと率直に認めています。


この質問のその後

端末が新しくなっても、ネットワークが遅ければ授業で使えない。データが守られなければ、デジタル活用は進まない。NEXT GIGAとは、「1人1台」という量の整備から、「本当に使える」質の整備への転換です。

論点(2024年9月の質問)当時現在
ネットワーク整備計画令和6年度中に策定・公表予定令和7年度予算でネットワーク整備を実施。CBT対応を含む環境整備が実現
教育情報セキュリティポリシー策定中・完成時期未定令和7年3月定例会時点で引き続き検討中
教育DX推進体制指導課にICT推進担当を新設デジタル政策参与との連携体制で継続推進中

こどもたちが生きるAI時代に必要な力を育む環境を、議会から提言し続けます。

→ 関連記事:AI時代の教育を問う(令和5年12月) 生成AIと教育の最前線(令和7年3月)

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