ゼロカーボン宣言の先へ。小平市のGX戦略を問う。

令和6年(2024年)6月定例会 一般質問「小平市におけるGXについて問う」レポート

このレポートの要約

令和6年6月定例会では、小平市のGX(グリーントランスフォーメーション)戦略を正面から問いました。

  • GXと小平市の向き合い方:脱炭素を「コスト」ではなく「まちの競争力」と捉え、小平市として戦略的に取り組む必要性を提起
  • ゼロカーボンシティ宣言後の現状と課題:宣言から実効性ある取り組みへの転換が進んでいるのか、具体的な進捗を問いただした
  • 東京ガスとの包括連携協定:協定締結により何が動き出したのか、その成果と今後の展開を確認
  • 「小平版グリーンラボ」構想:企業・大学・市民が連携し、小平市ならではの脱炭素技術の実証実験拠点をつくることを提言
  • 国分寺市との比較から見えた課題:隣接する国分寺市の先進的な取り組みと比較することで、小平市が取り組むべき課題を明確化した
目次

環境の日に「GX」を問う

2024年6月5日、環境の日。この日に合わせてというわけではありませんが、「小平市におけるGXについて」をテーマに議会質問に立ちました。

GX(グリーントランスフォーメーション)とは、化石燃料中心の社会から脱却し、クリーンエネルギー中心の産業・社会構造へと転換することです。国は令和5年2月にGX実現に向けた基本方針、7月にGX推進戦略を閣議決定し、今後10年間で官民協調150兆円超の投資を見込む国家戦略として動き出しています。

小平市は令和4年にゼロカーボンシティ宣言を行いました。しかし私が問いたかったのは、その先でした。

「ゼロカーボンは目標だ。しかし、GXはそれを達成するための手段であり、同時に地域経済を変革するチャンスでもある。小平市はこの波をどう捉えるか」

私は議員になる前、大学で再生可能エネルギーや、生体高分子、バイオマスといった環境関連化学の研究・教育にも携わってきた経験から、この問いを議会にぶつけました。


質問①:小平市はGXをどう定義するか

「市として定義はない」という答弁の意味

答弁では、小平市としてGXの定義は定めておらず、市としての推進見解も示していないということが明らかになりました。

しかし重要な確認が取れました。環境部長の答弁です。

「市が行っている事業もGXの中の一つにはなってくると考えている。GXの取組に寄与するものであると認識している」

小平市の取り組みがGXと無関係ではないという認識は共有されています。問題は、その認識を「戦略」として体系化できているかどうかです。

隣の国分寺市との差

比較として示したのが隣接する国分寺市の動きです。国分寺市は2024年3月に「国分寺市ゼロカーボン行動計画」を策定し、同年5月にはGXスタートアップシンポジウムを市・大学・商工会が連携して開催しました。都市農業とGXの関係、地域の強みを活かしたGX推進——産学官で実践的な議論が始まっています。

小平市でも同様の方向性を示すことができないか。「中身を伴わないまま宣言するのは難しい」という答弁は正直で評価できますが、だからこそ中身をつくる議論を早く始めるべきです。


質問②:ゼロカーボン達成へのロードマップ

「2030年カーボンハーフ」——しかし具体的な道筋が見えない

小平市地域エネルギービジョン見直し版では、2030年度までのカーボンハーフを目標に掲げています。しかし私が問いただしたのは、目標数値の先にある「どうやって達成するか」という具体的なロードマップの問題でした。

私が求めたのは3点です。

第一に、CO₂吸収・炭素固定の視点。市内に約5.5ヘクタールの雑木林があり、年間48.4トンのCO₂が吸収されていることが答弁で明らかになりました。しかしこれが現在の計画に数値として盛り込まれていません。

第二に、蓄電池インフラの整備計画。再生可能エネルギーの拡大には蓄電インフラが不可欠ですが、具体的な展開方針が示されていませんでした。

第三に、技術革新を前提とした柔軟な目標設定。太陽電池の技術は急速に進化しており(ペロブスカイト型、透明型など)、固定した数値目標だけでは対応できない場面が生まれます。

「2050年を見据えた、より総合的で多角的なロードマップが必要だ」——この提言に対し、答弁では「今後、そういった視点を総合的に考えていきたい」という方向性が示されました。


質問③④:産業振興と産学官連携

東京ガスとの包括連携協定、動き出した取り組み

令和5年11月に締結した東京ガス株式会社との包括連携協定について、具体的な進捗が確認できました。

カーボンニュートラル都市ガスの本庁舎への導入(2024年6月4日導入)と、約60の低圧電力使用施設へのCO₂排出実質ゼロの電気導入が進んでいます。

私がさらに提言したのが、カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンスへの加盟です。これは東京ガスが組成した環境経営トップランナー企業のネットワークで、隣接する国分寺市・昭島市はすでに加盟しています。最新の環境技術情報への早期アクセスや、環境先進都市としてのブランディングに有効です。

答弁では「検討中」という段階でしたが、加盟を強く求めました。

市独自の体制強化という課題

市内事業者への支援として、東京都のHTT(減らす・つくる・ためる)施策の情報提供が行われていましたが、国のGX戦略の全体像を伝える取り組みはまだ不十分な状況でした。

バイオ炭を使ったJ-クレジット対応など、農地を多く持つ小平市ならではの独自取り組みの可能性についても提言しました。


質問⑤⑥:「小平版グリーンラボ」構想

超小型バイオガスプラントという可能性

私が会派視察で訪れた調布市のNTT e-city Laboでは、調理残菜を使った超小型バイオガス発生プラントが稼働していました。かつては大型施設が必要だったバイオガス生成が、コンテナサイズで実現できる時代になっています。

前職の研究でバイオ燃料電池を扱っていた経験から、小平市の農業残渣を活用したエネルギー生産型資源循環モデルの実証研究を提案しました。答弁では「他市の取組状況を注視していく」という段階でしたが、農地資源を持つ小平市だからこそ取り組む価値があると考えています。

グリーンラボ構想——環境学習の拠点を小平に

私が描いた構想は、先進的な環境技術と農業技術を複合させた「こだいらグリーンラボ(仮称)」を整備することです。

整備予定の農業公園(鎌倉公園)への併設、ふれあい下水道館や新しくなる小平・村山・大和衛生組合の焼却施設との連携による「環境を学べるラーケーション拠点」——小平市が都市型グリーンシティのモデルになれるポテンシャルがあると確信しています。

「GXの波に乗り遅れないために。小平市には、環境推進市になるポテンシャルがある」


この質問のその後

本市でも、カーボンニュートラル都市ガスの導入や東京ガスとの連携が進められるなど、脱炭素に向けた取り組みは着実に広がっています。GX(グリーントランスフォーメーション)という考え方も、市の計画の中に徐々に浸透し始めています。

しかし、その一方で大きな課題も残されています。

脱炭素政策は、単に「環境に配慮しているように見える施策」を積み重ねればよいものではありません。地球規模の課題である以上、本当に温室効果ガスの削減につながるのか、CO₂排出量などの具体的なデータや科学的根拠に基づいて検証していく視点が不可欠です。何が実際に効果を生み、何がそうでないのか。エビデンスに基づいて政策を選択していく姿勢が求められています。

脱炭素と地域経済の活性化をどう両立させるのか。

その実現に向けて、小平市が全国のモデルとなれるよう、これからも議会の立場から提言を続けていきます。


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